休眠

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イチジクはもともと越冬も休眠もない亜熱帯が原産の果樹であり、寒さにはやや弱い傾向があります。そのため、耐寒性のない状態でイチジクが凍害を受けると、幼苗では芽や、ひどい場合は地上部全体の枯死し、成木でも同様に芽の枯死や新枝の生育不良、また主枝の枯死を招くこともあります。

その一方で、イチジクは気温が低下すると、自身の生長を停止して緑枝を木化させたり、体内の代謝を変化させて枝や根に糖や脂肪酸、アミノ酸などを蓄積して、さらに気温が低下しても生存できるようにする機能(=休眠)を持っています。この、イチジクの休眠について詳しく解説します。

いちじくの休眠

 一般に落葉果樹では落葉から翌春の発芽までを休眠期と呼んでおり、休眠には、自発休眠と他発休眠の2つのタイプがあります。

植物は、気温の低下など環境の影響により休眠誘導された後、その休眠は気温の低下によって徐々に深くなっていきます。この状態になると、仮に生育に適した環境条件(生育適温)に置いたとしても、生長は停止したままになります。このように、外部の環境に関わらず休眠を継続する状態を「自発休眠」と呼んでいます。

これに対して、いちど深い休眠に入った後、徐々に休眠は浅くなっていき、この状態で生育に適した環境条件(生育適温)に置けば、生長を再開するようなります。このように外部の環境によって休眠を継続している状態、つまり外部の環境によっては休眠が打破する状態を、「他発休眠」と呼んでいます。

芽が自発休眠から醒め、他発休眠に移行する「自発休眠の打破」のためには、ある一定期間、低温に遭遇する必要があります(低温要求)。

しかし、イチジクはこの低温要求量が非常に短いため、自発休眠がごく浅く、また短い作物であるため、いちど休眠に入っても生育適温に置けば容易に生長を再開します。しかし、イチジクの根の活動開始には12℃以上の地温および15℃以上の気温が必要であるため、日本での露地栽培では春まで芽吹くことはなく、休眠期間が長くなります。

この自発休眠がごく浅く、短いということもあり、落葉後(=休眠後)すぐに挿し木をした場合、室内などの生育適温に置くことで、比較的すぐに発根・発芽させることができます(→秋挿し・冬挿し

とある研究でも、

イチジクの芽の自発休眠の形態は, 10月初旬〜11月初旬が導入期、11月下旬頃が最深期および12月中旬〜1月下旬頃が覚醒期であり、最深期であってもほとんどの節位で萌芽し、萌芽所要日数が最長で約28日とそれほど長くない

と報告されています[1]

温暖化による休眠の遅れ

外部リンク